日本で開催されたバウハウス展のカタログ

日本では早くからバウハウスの存在が知られ、その教育方法や活動が逐一さまざまな雑誌で紹介されてきました。そして、1971年の世界巡回展「バウハウス50年展」をはじめ、今までにバウハウスの展覧会が多く開催され、図録も刊行されています。ここでは、日本で開催されたバウハウス展の図録をまとめてみました。



6-1『バウハウス50年』
東京国立近代美術館 1971年2月6日-3月21日
ルートヴィッヒ・グローテ他編
宮島久雄他訳
講談社、1971年


バウハウス創立から50年を記念して、1968年のシュトゥットガルトを皮切りに世界を巡回した展覧会。作品総数およそ2000点にもおよぶという大規模なものでした。ヘルベルト・バイヤーが展示とカタログのデザインを手掛けています。図版のボリュームもさることながら、研究者による豊富な論考や資料が非常に参考になります。日本語版のカタログは現在入手は難しいのですが、図書館で探してみて下さい。



6-2『バウハウス 芸術教育の革命と実験』
川崎市市民ミュージアム 1994年2月12日-3月27日
深川雅文編
川崎市市民ミュージアム 1994年


こちらは創立75周年を記念して開催された展覧会で、特にバウハウスの教育に焦点を当てた内容となっています。ミサワバウハウスコレクションが初めてまとまって紹介された展覧会でもあります。1人の学芸員の熱意によって実現した企画で、解説執筆・翻訳・編集まで1人で手掛けたこのカタログは、原文資料も充実し、なによりバウハウスへの愛情にあふれています。


6-3『bauhaus1919-1933』
セゾン美術館 1995年 4月15日-6月11日
セゾン美術館編 1995年


90年以降に日本で開催されたバウハウス展のなかで群を抜いた規模をもった展覧会がセゾン美術館の「bauhaus1919-1933」でした。カタログも電話帳並みの分厚さで、特に論考が充実しています。これは、1988年にドイツで開催された「experiment bauhaus」展カタログ論文邦訳が載っているから。教育、工房活動、建築、絵画等について、ドイツのバウハウス研究者によるかなり詳しいテキストが掲載されています。



6-4『コロキウムーバウハウスの写真』
川崎市市民ミュージアム「バウハウスの写真」展 1997年11月23日-1998年2月1日
川崎市市民ミュージアム編
川崎市市民ミュージアム 1997年


バウハウスの写真をテーマにした企画展。ifa(ドイツ対外文化交流研究所)の「バウハウスの写真」展(企画1983年)の世界巡回展に国内コレクションのコーナーを加えたもの。ifaが出したカタログの他に、川崎市市民ミュージアムで編んだこのカタログがあります。このカタログは「コロキウム(討論会)」と題しているように、バウハウス写真についての論文集で、バウハウスの写真に関する内外の研究者の6本の論文と、モホリ=ナギ等の原典からの新訳3本を掲載し、コンパクトながら非常に充実した内容となっています。



6-5『バウハウス ガラスのユートピア』
宇都宮美術館 2000年3月19日-5月14日
北海道立函館美術館 2000年5月21日-6月25日
徳島県立近代美術館 2000年7月15日-8月27日
広島県立美術館 2000年9月7日-10月22日
宇都宮美術館編
読売新聞社・美術館連絡協議会 2000年


ミサワバウハウスコレクション、宇都宮美術館の所蔵作品を中心とした国内初の巡回展。全作品がカラー図版で掲載され、学生生活から教育、工房作品、建築、絵画、そしてシカゴのニューバウハウスまでが紹介されています。mbc学芸員の杣田佳穂が「バウハウスの祝祭」について紹介しています。



(6-6) バウハウス創立七十五周年記念シンポジウム『デザインと知の変革』
東京ドイツ文化センター 1994年5月18,19日
武蔵野美術大学基礎デザイン学科研究室+武蔵野美術大学出版編集室編
武蔵野美術大学出版部 1994年


これは展覧会ではありませんが、ここで紹介いたします。1994年に開催されたシンポジウムの記録です。「理念としてのバウハウス」「運動としてのバウハウス」という大きな2つのテーマを基に、Tomas Maldonado氏(ミラノ工科大学教授、元ウルム造形大学学長)、Hermann Glaser氏(ベルリン工科大学教授)、Peter Hahn氏(ベルリン・バウハウスアルヒーフ館長)、Bernd Meurer氏(ダルムシュタット造形大学教授)、三島憲一氏(大阪大学教授)、阿部公正氏(筑波大名誉教授)(注:()内は全て当時のもの) というパネリストの2日間にわたる討論です。バウハウスの活動を紹介するのではなく、その理念を追い、その運動の今日性を問う内容なので、バウハウスの基礎知識を持ってから読んだほうがよいでしょう。

Last Update : 2004/02/23