2003/10/25 (土)

Rudolf Steiner (1861-1925)
ドイツの神秘思想家で、人智学会の創設者として知られる。ウィーン工科大学で自然科学・数学・哲学を学び、ゲーテの自然科学の研究家として出発。ベルリンで文芸評論家として活躍する。1902年から1912年まで神知学会のドイツ支部長であったが、1913年に脱会、人智学会を創設する。
アントロポゾフィ(人智学)は、新しい霊的な世界像を軸に、精神哲学のみならず、教育、医学・薬学・芸術・農学などさまざまな領域に広がり、今もなお大きな影響を与えている。
1913-20年、スイスのバーゼル近郊ドルナッハに、人智学会の本部、そして神秘劇の為の劇場としてゲーテアヌム(Goetheanum)が建てられた。有機的な形状を持つ大木造建築だったが、1924年放火によって全焼する。その後、鉄筋コンクリート造の第二ゲーテアヌムが再建(1925-28)され、現在に至る。
シュタイナー自身は建築の専門家ではなかったが、1914年に『新しい建築様式への道』という建築論をだしている。ゲーテアヌムは、シュタイナーのスケッチや模型、口頭による細かな指示のもとに建設され、アントロポゾフィの精神を反映した建築となっている。
特に第二ゲーテアヌムの、骨格を感じさせない彫塑的なフォルムは、他に類を見ない独特なもので、建築史においても独自の位置を占める。(k.s)



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